北海道戯曲賞選評

平成28年度 希望の大地の戯曲「北海道戯曲賞」最終審査選評

 

今年の1月に、非公開で第2次審査会が行われ、第1次審査通過の10作品から、優秀賞作品2本が決定いたしました。最終審査を終えて、審査員の皆様から選評をいただきました。

 

 

大  賞   な し

優秀賞   「Sの唄」     藤 原 佳 奈 (東京都)

      「海の五線譜」  吉 田 小 夏 (東京都)

 

 

 

第1次審査結果(五十音順)

 

イトウワカナ(北海道)  「ブルーマウンテン号の卵と間違い探し」

合田団地  (京都府)  「船の行方知らず」

鈴木 穣  (東京都)  「ひみつ箱」

土橋 淳志 (大阪府)  「あの町から遠く離れて」

中野 守  (兵庫県)  「チャットルームでなぐり合い!」

平石 耕一 (埼玉県)  「めくじら尺」

藤原 佳奈 (東京都)  「Sの唄」

まき りか (東京都)   ミュージカル「DAICHI」

村上 典子 (東京都)  「カノン」

吉田 小夏 (東京都)  「海の五線譜」

 

 

 

 


 

prof-osada

 長田 育恵 / 劇団ユニットてがみ座 主宰
 てがみ座 公式HPはこちら

 早稲田大学第一文学部文芸専修卒。
 1996年よりミュージカル戯曲執筆・作詞を経て、2007年に日本劇作家協会・戯曲セミナーに参加。翌年より井上ひさし氏に師事。2009年、自身の劇団「演劇ユニットてがみ座」を旗揚げ。以降、てがみ座全公演の戯曲等を手掛け、心の機微を見つめる繊細な言葉、丹念に織り上げられた構成で、スケールの大きな物語を描きだす筆力が注目されている。

 

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 昨年に続き優秀賞二作という結果になりました。それは、この戯曲賞が「応募作の中から相対評価で優れた作品を選ぶ」わけではなく、私たちが抱く、より大きな問いと不可分であるからだと思います。熱量を持つ戯曲とは。読み手をどうしようもなく突き動かし、あるいは何かしら見過せないものを孕む戯曲とは。そうした意味で、演劇に携わる創作者という同じ視点で、各作品と対話するように読みました。

 全体的な印象として、今回の最終候補作は、危なげない地点で戦っている作品が多く、もっと、書かざるを得なかった作者の切実さに触れたいという思いが募りました。その中で、幾つかの作品について触れます。

 『ブルーマウンテン号の玉子と間違い探し』家族という共同体を考察することへ身体的にアプローチしようという試みに惹かれました。けれど問いかけの間口を広く設けたものの、ここからが検証の本腰というところで手控えている。リズム感と身体感覚という武器があるのだから、もっと欲張りになってもいいのでは。

 『あの町から遠く離れて』冒頭でかなり引き込まれたのですが、進むにつれてエピソードが既視感のあるものとなり、複数のラインを手堅く回収した印象。世界観の魅力が、「ゴドー」など既存作品に大きく依っていたのが残念。けれど、軽やかな発想や文体、場面展開の妙など、作者のほかの作品も読みたいと強く思わせられました。

 『DAICHI』候補作中、唯一のミュージカルに言及します。この主題を書くためにミュージカルの手法を使うことは正攻法。誠実に書かれていました。反面、主題と形式に甘えてしまう危険が。史実から着想を飛翔させ、よりドライに捉え直すことから作品の可能性を探ってほしい。近年、市民参加型の作品を創る企画が多いからこそ、オリジナルミュージカルの強度や豊かさをもっと貪欲に求めていきたい。

 『Sの唄』語り手一人ですが、様々な情景が体感できました。作者の五感が生きた文体に最も強く惹かれました。唄うことで演じ手が異層に入っていくことも、その戻り際が妙に生々しく感じられそうで。小品ながら、作者が今、この作品を書かなければならない切実さと力強さを最も感じました。作者の才が光る一作だったと思います。

 『海の五線譜』一本推すならばこの作品だと審査会に臨みました。戯曲構造、技術、世界観の美しさなど候補作の中では随一だと。この作品で特に印象深いのは、新婚旅行先で単独行動することになった新妻が、かつて恋した男に再会し、一線を越えるかどうか揺らぐ場面。登場人物たちの暗部をも含めて描き出されていれば、より大きなうねりを生んだのではないか。「安心して観ていられる作品」から一歩も二歩も踏み出していけたのでは。残念ながら、ほかの審査員たちを動かすところまでには至りませんでした。

 

 

 


 

prof-saito

 斎藤 歩 /公益財団法人北海道演劇財団 常務理事・芸術監督

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 1964年釧路市生まれ。北海道大学演劇研究会を経て、札幌で劇団を結成し俳優・劇作家・演出家として1987年より活動を続ける。1996 年には札幌市文化奨励賞受賞。同年、北海道演劇財団設立に伴い、TPS 契約アーティストに就任。2000 年、演出した「逃げてゆくもの」で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。2000年からは東京に活動の場を移し、俳優として映 画・舞台・テレビドラマなどに出演する一方、北海道でも札幌座チーフデレクターとして劇作・演出・出演もしながら次世代演劇人の育成も続けてきた。2016年、ついに札幌に拠点を戻し、北海道演劇財団の常務理事・芸術監督としての活動を開始。

 

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 3年目に入り、昨年大賞を選ぶことができなかったので、今年こそはと10作品を読ませていただきました。12月の審査会が豪雪のため流会となり、1月に延期されたことで、更に読む時間を得ることができたのですが、やはり群を抜いた大賞に推したい作品を見出すことができないまま、審査会に臨みました。大賞とまでは行かないが「あの町から遠く離れて」は、巧みな構成や、散りばめられた一見無意味に見える伏線が次々に回収される快感から、軽快に読み進めることができました。しかし、軽快に読んだというだけで、なぜ「ゴドー」である必要があるのか?など、劇作家がそれを選んだ根拠のようなものが乏しいのではないかと感じました。

 それを書いた劇作家にとって「個人的な切実さ」のようなものが必要なのではないかと思います。書かざるを得ないほどの衝動、とまでは言いませんが、創造する集団性に阿ったり、経済に左右されたりするのでなく、戯曲として自立していて、その人にしか書けない、他に類を見ないものを、どうしても期待してしまうのです。巧みであったり、上手であったりするだけでは、私は嫉妬できないのです。

 そういう点で、審査員の皆さんとの議論の中で「Sの唄」と「海の五線譜」には、その劇作家たちが固有の切実さを持ち、何かを振り切っても進もうとする意志のようなものを感じることができたのだと思います。2作品とも私が突き動かされるほどの作品ではありませんでしたが、そうした力や個人的な創作根拠のようなものを感じて、私も納得して優秀賞に選ばせていただきました。

 3年間で1回しか大賞を選ぶことができなかったのはとても残念です。しかし、昨年大賞を選べなかった時の議論を経て、今年の作品に向き合ったとき、やはり前年の議論を捻じ曲げて北海道戯曲賞の志を貶めてはいけないという認識を審査員全員が共有していたのです。

 今後も北海道戯曲賞というものが、北海道戯曲賞固有の理念と、大きな志を築き、貫いて行くことが望ましいと考えています。

 

 


 

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 土田 英生 / 劇作家・演出家・MONO代表

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 1989年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。1990年以降全作品の作・演出を担当する。張りつめた状況の中に身を置く普通の人々の佇まいや認識のズレから生じる会話の可笑しさや哀しさを軽快なテンポで見せることで評価を得ている。1999年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。2001年文学座に書きおろした『崩れた石垣、のぼる鮭たち』で第56回芸術祭賞優秀賞を受賞。2003年文化庁の新進芸術家留学制度で一年間ロンドンに留学。劇作と並行してテレビドラマ・映画脚本の執筆も多数。

 

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 昨年の審査会は雪の為に中止になり、仕切り直した二ヶ月後の審査。読んで間もない興奮は去り、逆に冷静な話し合いになった気がする。けれど、最後、「大賞を出すのか出さないのか」から、発表された結果になるまでは随分と言葉を交わした。魅力と欠点を同じ秤で比べられない難しさがあった。結局、優秀賞二作品に落ち着いたが、構造としてよくできているのは『あの町から遠く離れて』、言語感覚は『Sの唄』、全体のまとまりは『海の五線譜』という感じで、最後まで意見は割れた。大賞を出すにはどうしても決め手に欠けた。昨年との比較もあり、安易には決められなかった。

 それぞれの作品についての印象を書かせてもらおうと思う。

 台詞は『Sの唄』が突出していると思った。語られるエピソードも陳腐でなく、それでいてリアリティがあった。ただ、一人芝居いとうこともあって、魅力のほとんどが一人称で語られる言葉にあるのが気になった。構成に少し工夫が欲しい。最後、誰も客のいない中で一人で語り歌っていると分かるところが物語としては「オチ」になっているのだが、だとしたら、前半を『最後のライブ』をやっている体で、そのタイムラインを面白く示してくれたらと思った。エピソードの中に出てくる「最初にやったライブ」と現在進行しているライブが混在していて分かりにくい。

 『海の五線譜』は人の過ごした時間を感じさせてくれる作品だった。ただ、健介と典子、そして和彦の過去の関係が描き切れているとは言いがたく、その分、現在の夫婦の有り様に抱く 感慨が 弱くなって いる。新婚旅行先での出会いなど、都合のいい展開も気になった。

 最後まで悩んだのは『あの町から遠く離れて』だ。構造的にもとてもよく描けていて、エンターテイメントとして読ませる力がある。気になったのはゴドーをベースにアトムやゴジラなど、創作物からの引用が多すぎることだ。使い方がうまいという印象ばかりが残ってしまう。その登場する人びとの魅力がもっと突き出て来て欲しかった。

 『ひみつ箱』は過去に遡って行く中で、二人の変遷がわかるのはオーソドックスな手法で飽きずに読めた。ただ、その年月の変化に驚きが感じらえないのがもったいなかった。

 『船の行方知らず』。興味を惹かれる台詞はあったが、出ていった女、彼女を愚直に探し続ける男の存在が立ち上がってこない。女はなぜ出て行ったのか、なぜ戻ってきたのか、男はどうして探すのか? 具体的な理由はいらないけれど、了解感は必要だと思う。

 『ブルーマウンテン号の卵と間違い探し』。次男が性犯罪を起こしたその後の家族。船の上が抽象的な表現にするならば、家族のシーンは実際に何が起こっているのか、どんな会話がなされていたのかなどを具象的にしなければ構造自体が意味をなさないのではないか?

 『チャットルームでなぐり合い!』は着想は面白いけれど、五味や一井、四日さんなどが知り合いであることにリアリティを感じられない。納得させる仕掛けを工夫すべき。

 『めくじら尺』。現在に続く過去がしっかり調べて書かれ、それをあえて言葉などを変えることによってフィクションと成立させようという試みは良かった。ただ、台詞が説明的でこなれていない。また、登場人物が多いせいもあり、それぞれが生かし切れていない印象だった。俊介の背景なりをドラマにしてほしい。

 ミュージカル『DAICHI』に関しては、正直、どう捉えて評価していいのか判断ができなかった。戯曲としては成立していない気がする。大地の死を都合よく使い過ぎだと思う。

 『カノン』は面白くなりそうな気配はあった。けれど、登場人物のやるせなさが立ち上がってこない。長男と父がどんどんという音でコミュミケーションを取るのは面白いのだが……。関係ないことだが、台本が読み辛すぎた。人が読むものだということを少し考慮してもらえると有難い。

 


 

prof-hatasawa

 畑澤 聖悟 / 劇作家・演出家・劇団「渡辺源四郎商店」店主

  渡辺源四郎商店 公式HPはこちら

 

 1964年、秋田県生まれ。青森市を本拠地に全国的な演劇活動を展開している。劇団民藝『カミサマの恋』『満天の桜』、劇団昴 『 イノセント・ピープル』、青年劇場『修学旅行』など老舗劇団への戯曲提供多数。2005年『俺の屍を越えていけ』で日本劇作家大会短編戯曲コンクール最 優秀賞、2008年『ショウジさんの息子』でCoRich舞台芸術まつりグランプリ、『翔べ!原子力ロボむつ』では第57回岸田國士戯曲賞ノミネート。2012年、『親の顔が見たい』が韓国の劇団神市によってロングラン公演され、小説も出版された。

 

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 3回目の北海道戯曲賞であり、審査させて頂くのも3回目である。過去2回に較べて一定の水準を満たす作品が揃っていたように思うが、突出した何かには出会えなかった。それでも大賞を出すかどうかについて審査員一同議論を重ねたが、残念ながら前回に続き今回も大賞なしとなった。

 「Sの唄」は一人芝居。コンサート中のシンガーソングライターの歌とMC。主人公はいわゆるイタい女なのだが、その自意識過剰ぶりにイヤミがない。書き手の切実さなのか、ぐいぐい読ませられた。一人称であることを戦略的に活用していると感じた。ラストは母親の話に収束したが、 小さくまとまってしまった感があり残念。終わってしまったことを語るだけでなく、なにか事件が起きて欲しい。コンサートの枠組みを壊してでも飛躍があればよかったのに。どれか一本選べと言われたらこの作品と思ったが、大賞として強く推すほどの決め手はなかった。

 「海の五線譜」は手練れの作品。老いや死への恐怖が「一番大事なことから忘れる」ことの残酷さとして語られる。絆すら奪われても残るものはあるというささやかな希望で幕を閉じるのがいい。 人物造形(特に男性)に暗部がないのが印相的。女性から見た 「都合の良い男性像」は意図されたものなのなのか。だとしたらもっと戦略として徹底すればいいのにと思ったが、余計なお世話かも知れない。

 「ブルーマウンテン号の卵と間違い探し」は逃亡する家族を海原のゴムボートに置き換えた。 家族=船はよくある置き換えであるが、潔く徹底していていい。陸地に着いて船を降りるくだりがあっさりしていて残念。家族=船なら書くべきなのはそこだろう。ただ作者の以前の応募作からは格段の進歩が見られる。今後に期待したい。

 「あの町から遠く離れて」は三題噺と複数のラインをうまく収束させた。技術には感心するが、うまく収束させること自体に作者の興味が注がれているのではないか。ゴド待ち、アトムなど各要素の扱いが表層的。震災を軽く扱っているように見えるのが、東北の人間としてはどうにもひっかかる。

 「ひみつ箱」はひと組の男女の破局から出会いまでを遡って描いたが、 手法に既視感がある。勿体ない。ラストシーンはなかなか切ない。

 

 


 

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  前田 司郎 / 作家・劇作家・演出家・映画監督・五反田団 主宰

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1977年東京生まれ。1997年、劇団「五反田団」を旗揚げ。2004年「家が遠い」で京都芸術センター舞台芸術賞を受賞。2005年「愛でもない青春でもない旅立たない」で小説家デビュー。2007年「グレート生活アドベンチャー」が芥川賞候補となる。 2008年「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。2009年、小説「夏の水の半魚人」が三島由紀夫賞受賞。近年はTV・映画のシナリオや演出も手がけ、2015年、「徒歩7分」が向田邦子賞受賞。 「私たちは塩を減らそう」(キノブックス)等著書多数。2016年6月に映画監督第2作目となる「ふきげんな過去」(小泉今日子・二階堂ふみ主演)が公開された。

 

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 嫉妬する作品はなかった。上手だなと思う作品はあったが、 上手なのがばれてしまっては駄目だと思う。ヘタクソなのに魅力的で、実は技術的に優れている作品が読みたかった。というか、結局僕自身の好みでしか評価できない。その辺は申し訳ないが、評論家ではないので容赦ねがいたい。今年は全作品に触れようと思う。

① 「ブルーマウンテン号の卵と間違い探し」人工の狂気を感じた。好きになれない。きっとどんな人にも狂気はあると思う。作者のもつ、作者本人も 隠したいような部分が見たい。

② 「船の行方知らず」意味ありげな雰囲気が漂っているが、意味を感じられない。面白くなりそうという予感だけで、そこから展開がない。設定に設定を重ねていくのではなく、設定を展開させていく筋力が必要なのでは。

③ 「ひみつ箱」会話はとても上手だと思った。けど、なんで時間を逆光するのかわからない。登場人物の二人が全く好きになれなかった。会話には物語りを進めるための筋肉と、作品を魅力的にする贅肉が必要だと思う。贅肉がないと人物がただ物語を成立させるために存在してしまう。せっかく時間を遡っているのだから、過去に興味を抱かせてほしい。逆行することは後から思いついたのでは?逆行を生かせる設定を。

④ 「あの町から遠く離れて」最初面白そうだったが、既存のフィクションや出来事に仮託しすぎで、志が低いと思う。震災や原発の問題の扱い方も直接的過ぎてダサいと感じる。好きじゃない。技術は一番高いと感じた。ゴドーやアトムやゴジラを尊敬するなら、それを超える作品を書くことに尽力すべきでは? 私見だが、虎の威を借りるべきではない。

⑤ 「チャットルームでなぐり合い!」おばちゃんが女子大生をやるとか、ネットの世界を芝居にしました感とか、悪い意味で古い。現代の事象を描きたいなら先端のものでなくてはいけないのでは?チャットルームって、今さら。劇中にエクスキューズがあったが、わかってるならこのアイディアは捨てるべき。最初に浮かんだアイディアを無邪気にやりすぎ、もう少し疑った方が良いと思う。

⑥ 「めくじら尺」ごめんなさい。どうしても読めなかった。誰が誰だかわからない。話が全く入ってこない。一応読んだけど、全然、わからない。僕の問題かも。他の審査員の方にお任せした。

⑦ 「Sの唄」笑かそうとしているところが全部キツイ。中学生的な感性が嫌。でも、そういう人でしたというオチだからいいのかな? しかし、これは実際みたら相当きつそう。他の審査員の皆さんと話しているうちに、確かに本作に一番「書きたい」という衝動のようなものを感じた。でも僕はやっぱり、笑わそうとしている感じが滲んでいるのが好きではない。

⑧ 「MUSICAL DAICHI」ふざけてるのかと思ったら全くの無邪気だ。ひねりがない。超素直。気持ちがいいくらい。意外と好きだけど、戯曲賞だから評価は出来ない。

⑨ 「カノン」非常に読みづらい。内容とは関係ないけど、びびった。 原稿用紙の書式にしているのかな? 一度プリントアウトした物を自分で読んで書式を整えてほしい。俳優にも渡すのだから、読みやすい書式を心がけてください。内容の方もルールの説明が長い割りに面白くないゲームをプレイしたみたいな気持ち。軽い会話に面白みがない。「この芝居はこうやってみるんですよ」というルールは出来るだけ判りやすく短い方が良い。自分しかルールを知らないカードゲームを誰かに教えて遊ぶことをイメージしてもらいたい。

⑩ 「海の五線譜」作為を感じない劇作に好感を持って読んだ。しかし都合がよすぎる。新婚旅行のエピソードなど特に。迂闊にも、妻の元恋人の地元を旅行先に選ぶ夫。動けない程の腹痛を抱えた夫を放っておいて元恋人と会う妻とか。作者の都合に寄せすぎ。物語自体がお寺に置いてある教育絵本みたいに視野が狭い気がする。「物語」と「作者の都合」が内通し癒着している。両者は対立すべきだと思う。

 僕は④と⑩を消極的に押した。 偉そうなことばかり言ったが、その言葉は全部自分に返ってくるものと自覚せねばならぬ。

 


 

平成28年度 希望の大地の戯曲「北海道戯曲賞」優秀賞作品リーディング公演

 

 

今回、選ばれたお二人の作品を、平成29年3月5日(日)に、札幌市の扇谷記念スタジオ シアターZOOにてリーディング形式で上演します。

また3月下旬に「平成28年度北海道戯曲賞受賞作品集」として発行します。

 

【日 時】  平成29年3月5日(日) 14:00開演 (13:30開場)

【会 場】  シアターZOO(札幌市中央区南11条西1丁目3-17)

【入場料】  前売・当日 500円

【申込先】  公益財団法人北海道文化財団 WEB  https://haf.jp/ticket.php

       TEL 011-272-0501(平日9:00~17:30)

 

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平成28年度北海道戯曲賞 優秀賞作品

Sの唄    作:藤 原 佳 奈

海の五線譜  作:吉 田 小 夏

 

演 出   斎 藤  歩(公益財団法人北海道演劇財団常務理事・芸術監督)

 

終演後はトークセッションを行います。受賞者のお二人と、審査員で今回演出を担当する斎藤歩氏、そして、スペシャルゲストとして、同じく審査員の前田司郎氏が「北海道戯曲賞」について語ります。

 

リーディング公演詳細はこちら


 

○ 平成28年度 希望の大地の戯曲「北海道戯曲賞」募集

○ 平成28年度希望の大地の戯曲「北海道戯曲賞」候補作品決定

○ 平成28年希望の大地の戯曲「北海道戯曲賞」最終審査結果

 

 

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